相場の動き

中古マンションの価格は築年数でどう下がるのか|成約価格データの読み方

築年数が価格に与える影響は、単純な直線ではありません。成約価格データから築年数別の単価を読むときに、どこを見て、何に注意すればいいかを解説します。

公開 2026-08-26

中古マンションを調べていると、「築20年を過ぎると価格が下げ止まる」「築15年が買い時」といった話を目にします。こうした通説が自分の探している地域にも当てはまるのかは、実際のデータで確かめられます。

当サイトでは、各市区町村のページに築年数別の㎡単価中央値を掲載しています。この記事では、その表をどう読むかを説明します。

建物と土地では、値下がりの仕組みが違う

まず前提として、マンションの価格は「建物部分」と「土地の持分」に分かれます。

建物は時間とともに価値が下がります。 鉄筋コンクリート造の法定耐用年数は47年で、税務上はこの年数で価値がゼロに向かって減っていく扱いになります。実際の取引でも、築年数が上がるほど建物部分の評価は下がります。

土地の持分は、築年数では下がりません。 マンションの敷地は区分所有者が共有していて、この価値は建物の古さとは関係なく、その土地の相場で決まります。

この2つが合わさるため、価格の下がり方は直線になりません。新しいうちは建物部分が大きいので下落幅が大きく、古くなるほど土地部分の比重が高まって下げ止まっていきます。

都心部ほど下げ止まりが早く現れます。 土地の価値が高い地域では、価格に占める土地持分の割合がもともと大きいためです。逆に土地が安い郊外では、建物の劣化がそのまま価格に響きやすくなります。

同じ「築25年」でも、地域によって水準がまったく違うのはこのためです。だから全国平均の下落率を自分の物件に当てはめても意味がありません。調べたい地域のデータを見る必要があります。

築年数別の表を読むときの注意点

当サイトの築年数別の表は、直近の取引を築年数の区分ごとに分け、それぞれの㎡単価の中央値を出したものです。読むときに気をつけることが3つあります。

1. これは同じ物件の値下がりではない

表に並んでいるのは、別々の物件の価格です。「築5年以内の物件群」と「築31年以上の物件群」を比べているのであって、ある1棟が26年でいくら下がったかを示しているわけではありません。

築古の物件群には、そもそも立地が良くない物件が多く残っている、という可能性もあります。逆に、駅前の古いマンションは建て替えや再開発の期待で高く取引されることもあります。区分間の差には、築年数以外の要因も混ざっています。

2. 件数が少ない区分は当てにならない

区分ごとの件数は表に出しています。件数が5件に満たない区分は、中央値が安定しないため数値を出していません。数値が出ていても、件数が10件程度なら、たまたまの取引に引っ張られている可能性を考えてください。

3. 建物の状態は反映されていない

元データには、リフォームやリノベーションの有無は基本的に含まれません。管理状態の良し悪しも入りません。築30年でも大規模修繕をしっかり行ってきたマンションと、そうでないマンションが同じ区分に入っています。

築年数はあくまで、価格を分ける要因のひとつです。

築年数以外に見るべきもの

当サイトでは築年数のほかに、面積別改装の有無別の単価も掲載しています。

改装の有無は、築古の物件を見るときに効きます。同じ築30年でも、リフォーム済みで売られた物件とそのままの物件では価格が違います。元データには「改装済み」「未改装」の別が記録されているので、その差を地域ごとに見られます。築年数別の表で古い区分の単価が思ったより高いときは、改装済みの物件が多く含まれている可能性があります。

なお、駅からの距離は公的データに含まれていません。詳しくは駅徒歩何分までが価格に効くかに書いています。

面積別を見ておくと、㎡単価の落とし穴に気づけます。小さい住戸ほど㎡単価は高くなる傾向があります。設備や水回りは面積に比例しないためです。ですから「この地域の㎡単価は◯万円」という数字を、そのまま100㎡の物件に掛けると高く出すぎます。自分が調べている面積帯の数字を見てください。

実際の使い方

自分の物件や検討中の物件を評価するなら、こういう手順になります。

  1. 対象の市区町村ページで、中古マンションの㎡単価中央値と件数を確認する
  2. 築年数別の表で、該当する築年数区分の単価を見る
  3. 面積別の表で、該当する面積帯の単価を見る
  4. 改装の有無の表で、リフォーム済みかどうかによる差を確認する
  5. 20年の推移グラフで、その地域が上昇局面か下落局面かを見る

ここまでで「この条件ならおおよそこの水準」という幅が掴めます。そのうえで査定を受ければ、提示された金額が妥当な範囲にあるかを自分で判断できます。

まとめ

  • 建物は減価するが土地持分は減らないため、値下がりは直線にならず、古くなるほど下げ止まる
  • 下げ止まりの現れ方は地域の地価水準で変わるので、全国平均は使えない
  • 築年数別の表は「別の物件どうしの比較」であり、1棟の値下がり曲線ではない
  • 築年数だけでなく、面積帯と駅距離も合わせて見る

集計方法の詳細はデータの出典と作成方法に記載しています。