データの読み方

駅徒歩何分までが価格に効くか|「徒歩1分=80m」と、公的データの限界

表示される徒歩分数は道路距離80mを1分として計算した数字で、信号待ちも坂も含みません。国が公開する取引価格データには駅距離が入っていないため、自分で確かめる方法も併せて説明します。

公開 2026-08-26 / 更新 2026-08-27

「駅徒歩7分」と「駅徒歩12分」。この5分の差が、価格にどれくらい効くのか。

結論から書くと、国が公開している取引価格データには、駅からの距離が含まれていません。 そのため当サイトでも、駅距離別の単価を出すことはできません。この記事では、徒歩分数という数字がどう作られているか、価格にどう効くか、そして公的データで確かめられないぶんをどう補うかを書きます。

徒歩1分は80m。それだけの意味しかない

不動産広告の徒歩分数は、業界の自主ルール(不動産の表示に関する公正競争規約)で計算方法が決まっています。

  • 道路距離80mを1分として計算する
  • 端数は切り上げる(81mなら2分)

ここから抜け落ちているものがあります。

  • 信号待ちの時間は含まれない
  • 坂道・階段は考慮されない
  • 踏切の待ち時間も含まれない
  • 駅の入口から改札・ホームまでの時間は含まれない

大きな駅では、駅の入口に着いてからホームまで5分かかることもあります。「徒歩5分」の物件が、実際にはドアからホームまで12分ということは珍しくありません。

つまり徒歩分数は、実際にかかる時間ではなく、道路距離を80で割った指標です。同じ「10分」でも、平坦な道と急な坂では体感がまったく違います。

それでも価格には効きます。買い手も同じルールで比較しているからです。

価格への効き方

一般に、駅に近いほど単価は高くなります。ただし効き方は直線ではありません

駅前の数分は急に落ちる。 徒歩1分と徒歩5分の差は、徒歩11分と徒歩15分の差より大きく出やすくなります。駅直結・駅前という希少性がプレミアムになるためです。

ある距離を超えると差が縮まる。 徒歩15分を超えると、多くの人が「歩く距離ではない」と判断し、バス・自転車・車が選択肢に入ります。そうなると、17分でも20分でも評価はあまり変わりません。

そして地域によって効き方がまるで違います。

鉄道中心の都市部では、駅距離が単価を強く支配します。通勤を鉄道に依存しているため、駅からの距離がそのまま生活の質になります。

車社会の地方都市では、駅距離の影響が小さくなります。通勤も買い物も車なら、駅の近さは大きな価値になりません。むしろ幹線道路へのアクセスや駐車場の広さのほうが効きます。

だから「徒歩1分あたり何%下がる」という全国共通の数字は存在しません。仮にどこかでそういう数字を見かけても、自分の地域に当てはめないでください。

公的データには駅距離が入っていない

国土交通省が公開している不動産取引価格情報には、次の項目が含まれています。

種類/地区/所在地(町丁目まで)/取引価格/単価/面積/土地の形状/間口/延床面積/建築年/構造/用途/今後の利用目的/前面道路の方位・種類・幅員/都市計画/建ぺい率/容積率/取引時期/改装/取引の事情

最寄駅と徒歩分数は、この中にありません。 当サイトはこのデータを集計しているので、駅距離別の相場も出せません。2005年から2024年までの全期間を確認しましたが、どの時期のデータにも駅の情報は含まれていませんでした。

代わりに当サイトでは、公的データから取れる次の軸で単価を分けています。

  • 築年数別 — 価格を分ける要因としては駅距離と並ぶ大きさ
  • 面積別 — 面積帯によって㎡単価の水準が変わるため
  • 改装の有無 — リフォーム済みで売られたか、そのままか
  • 地区別(町丁目) — 駅距離の代わりにはならないが、地域内の差は見える

このうち地区別の表が、駅距離をある程度は代替します。駅のある町丁目とその周辺では、単価に差が出ることが多いためです。完全ではありませんが、手がかりにはなります。

自分で確かめる方法

駅距離の効き方を自分の地域について知りたい場合、公的データではなく不動産ポータルを使うのが現実的です。

  1. 対象の地域・物件種別で検索する
  2. 築年数と面積を近い条件に絞る(これをしないと駅距離以外の差が混ざります)
  3. 徒歩5分以内、6〜10分、11分以上でそれぞれの㎡単価を出す

売り出し価格なので実際の成約価格より高めに出ますが、同じ条件で比べるかぎり、駅距離による差の大きさは読めます。 水準は当サイトの成約価格で、差の構造はポータルで、という使い分けになります。

そのうえで、実際に歩いてみてください。坂があるか、夜道は明るいか、踏切で足止めされないか。80mで割った数字には出てこない部分が、住み心地と将来の売りやすさを左右します。

まとめ

  • 徒歩分数は道路距離80m=1分、端数切り上げ。信号待ちも坂も含まない
  • 駅前の数分は急に落ち、徒歩15分あたりで差が頭打ちになりやすい
  • 効き方は地域差が大きい。車社会ではほとんど効かないこともある
  • **公的な取引価格データに駅距離は含まれていない。**当サイトでも出せない
  • 駅距離の差を知りたいときは、条件を揃えたうえでポータルの売り出し価格を比べる

当サイトが出せる条件別の単価は、各市区町村の物件種別ページに掲載しています。