データの読み方

不動産価格は中央値で見る|平均値だと相場からずれる理由

不動産の価格分布は大きく右に裾を引きます。平均値は少数の高額取引に引っ張られるため、相場を知る目的には中央値のほうが適しています。

公開 2026-08-26

当サイトが表示している価格は、すべて中央値です。平均値ではありません。これは意図的な選択で、理由があります。

中央値とは

データを小さい順に並べたとき、ちょうど真ん中にくる値です。

たとえば5件の取引が 3,000万円、3,500万円、4,000万円、4,500万円、2億円 だったとします。

  • 平均値 = (3,000 + 3,500 + 4,000 + 4,500 + 20,000) ÷ 5 = 7,000万円
  • 中央値 = 真ん中の3番目 = 4,000万円

5件のうち4件は4,500万円以下なのに、平均値は7,000万円になります。平均値の7,000万円で成約した取引は1件もありません。

一方、中央値の4,000万円なら、「半分はこれより高く、半分はこれより安い」と言えます。相場を知りたいときに欲しいのは、こちらの数字です。

なぜ不動産では差が出るのか

不動産価格の分布は、左に山があって右に長く裾を引く形をしています。

下限は市場が決めます。どれだけ条件の悪い物件でも、極端に安い価格にはなりません。一方、上限はありません。同じ地域の同じマンションでも、最上階の角部屋と1階では倍近く違うことがありますし、一等地には桁違いの取引が混ざります。

この非対称性のせいで、平均値は必ず中央値より高く出ます。そして裾が長いほど、その差は開きます。

都心部ほど差が大きくなります。 高額取引が混ざりやすいためです。逆に、地方の郊外住宅地のように似た条件の物件が多い地域では、平均値と中央値はあまり変わりません。

それでも平均値が使われる場面

平均値が悪いわけではありません。適した用途があります。

総額を知りたいとき。 平均値 × 件数 = 合計。この関係が成り立つのは平均値だけです。市場全体の規模を測るなら平均値が必要です。

分布が対称なとき。 ばらつきが左右均等なら、平均値と中央値はほぼ一致します。この場合は平均値のほうが計算も扱いも簡単です。

不動産の相場は、このどちらにも当てはまりません。だから中央値を使います。

中央値の弱点

中央値も万能ではありません。使うときに知っておくべきことが2つあります。

1. 件数が少ないと不安定になる。 5件の中央値は3番目の値そのものです。1件入れ替わるだけで大きく動きます。当サイトが取引件数を必ず表示し、年間5件未満の年をグラフに出さないのは、この不安定さを見せないためです。件数を確認せずに中央値だけを見ると、誤った印象を持ちます。

2. 分布の形がわからない。 中央値は真ん中の1点でしかありません。「その地域の物件が中央値付近に集中しているのか、上下に大きく散らばっているのか」は中央値からはわかりません。

この2つ目の弱点を補うために、当サイトでは築年数別・面積別・改装の有無別の中央値も出しています。条件ごとに分けて見れば、ばらつきの中身が見えてきます。

実際に使うときは

自分の物件や検討中の物件を評価するとき、中央値をそのまま当てはめないでください。中央値は「ちょうど真ん中の取引」であって、あなたの物件の価格ではありません。

手順としてはこうなります。

  1. 市区町村の中央値で、その地域のおおよその水準を知る
  2. 件数を確認する。少なければ、数字を幅として受け取る
  3. 築年数別・面積別・改装の有無別の表で、自分の条件に近い区分の中央値を見る
  4. その区分の件数も確認する

条件を絞るほど件数は減るので、精度と件数はトレードオフになります。どちらも見ておくのが安全です。

まとめ

  • 不動産価格の分布は右に裾を引くため、平均値は実感より高く出る
  • 相場を知る目的には中央値が適している
  • ただし中央値も件数が少ないと不安定になる。件数を必ず確認する
  • 中央値だけでなく、条件別の数字まで見る

当サイトの算出方法はデータの出典と作成方法に書いています。