基礎知識

公示地価・路線価・実勢価格の違い|4つの「土地の値段」を整理する

日本の土地には、目的の違う価格が複数あります。公示地価、路線価、固定資産税評価額、そして実際の取引価格。それぞれ誰が何のために出しているのかを整理します。

公開 2026-08-26

土地の値段を調べようとすると、似たような言葉がいくつも出てきます。公示地価、基準地価、路線価、固定資産税評価額、実勢価格。これらは同じものを別の呼び方をしているわけではなく、出している主体も、目的も、時点も違う別々の価格です。

「一物四価」と呼ばれることもありますが、覚えるべきは名前ではなく「何のための価格か」です。

4つの価格を一覧で

価格出している主体目的基準日公表
公示地価国土交通省土地取引の指標、公共用地の取得価格の基準1月1日3月
基準地価都道府県公示地価を補完する7月1日9月
路線価(相続税路線価)国税庁相続税・贈与税の計算1月1日7月
固定資産税評価額市町村固定資産税・都市計画税の計算1月1日(3年ごとに評価替え)4月ごろ

これに加えて、実際に売買が成立した価格である実勢価格があります。上の4つが「評価された価格」であるのに対して、実勢価格だけが「実際に動いた価格」です。

税金のための価格は、意図的に低く設定されている

路線価と固定資産税評価額は、税金を計算するための価格です。そのため、公示地価に対しておおむね次の水準に設定されています。

  • 路線価:公示地価の80%程度
  • 固定資産税評価額:公示地価の70%程度

これは値引きではなく、地価が急に下がったときに納税額が実態より高くなってしまうことを避けるための安全幅です。ですから「路線価が3,000万円だから3,000万円で売れる」とはなりません。逆算するなら、路線価 ÷ 0.8 が公示地価の目安ということになります。

公示地価は「点」の価格

公示地価でよくある誤解は、自分の土地の値段が載っていると思ってしまうことです。公示地価が示しているのは、全国に定められた標準地という代表地点の価格です。地点数は全国で2万数千地点なので、市区町村あたりにすると十数地点しかありません。

つまり公示地価は「その地域の水準を示す点」であって、個別の土地の評価額ではありません。自分の土地を評価するには、最寄りの標準地の価格を出発点にして、駅からの距離、道路付け、形状、用途地域といった条件で補正していくことになります。

実勢価格だけが、実際に払われた金額

一方、国土交通省が公表している不動産取引価格情報は、不動産の登記をした人へのアンケート調査をもとに、実際に成立した取引の価格を集めたものです。2005年第3四半期から、四半期ごとに公表されています。

こちらは標準地のような代表地点ではなく、実際に取引されたものすべてが対象です。そのため件数が多く、地域ごとの分布を見られます。当サイトが集計に使っているのはこのデータです。

ただし、実勢価格には評価された価格にはない性質があります。

  • 時期がばらつく:いつ取引されたかによって水準が違います。だから期間を区切って集計する必要があります。
  • 物件の条件がばらつく:築30年の中古マンションと新築同然のものが同じ地域のデータに混ざります。
  • 公表が遅れる:取引から公表まで数か月かかります。

どの価格を見ればいいのか

目的によって変わります。

売却価格の見当をつけたいなら、実勢価格です。同じ地域・同じ条件で実際にいくらで成約しているかを見るのがいちばん近道です。ただし、中央値がそのまま自分の物件の価格になるわけではないので、築年数や駅距離といった条件別の数字まで見る必要があります。

相続税がいくらかかるか知りたいなら、路線価です。これは計算のための公式な数字なので、他の価格で代用できません。

その地域が上がっているのか下がっているのか知りたいなら、公示地価の変動率が使いやすいです。同じ地点を毎年評価しているので、比較の条件が揃っています。実勢価格は取引された物件が毎年違うため、前年比を見るときは件数にも注意が必要です。

まとめ

  • 評価のための価格(公示地価・基準地価・路線価・固定資産税評価額)と、実際に取引された価格(実勢価格)はまったく別のもの
  • 税金用の価格は公示地価の70〜80%に抑えられている
  • 公示地価は代表地点の価格であって、個別の土地の値段ではない
  • 相場を知りたいなら実勢価格。ただし条件のばらつきと公表の遅れを前提に読む

当サイトでは、この実勢価格を市区町村ごとに集計しています。集計の手順はデータの出典と作成方法に記載しています。