データの読み方

競売・調停の取引を統計から外す理由|相場を歪める取引とは

当サイトは特殊な事情のある取引を集計から除いています。なぜ除くのか、除かないとどうなるのかを説明します。

公開 2026-08-26

当サイトの中央値は、公開されている取引すべてを使っているわけではありません。取引の事情欄に特殊な記載があるものを除いて計算しています。

黙って除くのはよくないので、何をどういう理由で除いているかを書いておきます。

除いている取引

元データには「取引の事情等」という欄があり、通常と違う事情があった場合に記載されます。当サイトでは、次のキーワードを含む取引を集計から除いています。

事情除く理由
調停・競売市場での自由な売買ではない。相場より安く成立しやすい
関係者間の取引親族間・同族会社間など。価格が市場と切り離される
瑕疵の存在物件固有の問題が価格に織り込まれている
古屋付き土地解体費用の分だけ土地価格が下がる
隣地の買い増し隣接地は買主にとって価値が高く、相場より高くなりやすい
他物件との一括取引複数物件の総額を按分しているため、個別の価格ではない

なぜ除くのか

このサイトが答えようとしている問いは、「普通に売買したら、この地域はどのくらいの価格か」です。

競売は、市場で売れなかった、あるいは売る余裕がなかった物件が、裁判所の手続きで処分されるものです。買主は物件を内見できないことが多く、引き渡しのリスクも負います。その分、価格は市場より安くなります。この安さは「その地域の相場」ではなく「競売という手続きの割引」です。

親族間の売買も同じです。相場の半額で親から子へ譲るような取引は起こりえます。これを混ぜると、その地域が安いように見えてしまいます。

逆方向に歪むものもあります。隣地の買い増しは典型で、隣の土地は買主にとって特別な価値があるため、相場より高い値がつきやすくなります。これを混ぜると地域が高く見えます。

つまり除外は「安い取引を消して高く見せる」ためではありません。上にも下にも歪める要因を、両方とも外しているということです。

除かないとどうなるか

取引件数の多い都市部では、こうした特殊な取引の割合が小さいため、除いても除かなくても中央値はあまり変わりません。

問題は取引件数の少ない地域です。年間30件の地域に競売が3件混ざれば、それは全体の1割です。中央値が下に引っ張られ、その地域が実際より安いという印象を与えてしまいます。

件数が少ない地域ほど、除外の有無が効きます。

除外の限界

正直に書いておくと、この除外は完全ではありません。

事情欄への記載は任意です。 特殊な事情があっても書かれていない取引はあります。逆に、書かれていても実質的には通常の取引に近い場合もあります。

キーワードでの判定です。 事情欄の文言をキーワードで拾っているため、想定していない書き方の記載は拾えません。

リフォームの有無は事情欄には出ません。 フルリノベーション済みの物件と、そのままの物件が同じ中央値に入っています。これは除外しようがありません。

つまり除外は、明らかに相場と違う取引を落とすためのふるいであって、データを完全に均質にするものではありません。

そのほかに除いているもの

事情による除外のほかに、次のものも集計に入れていません。

  • 農地・林地 — 住宅用不動産とは市場が別なので対象外
  • 面積が「2,000㎡以上」と丸められた取引 — ㎡単価を計算できない
  • 価格が取得できない取引 — 計算のしようがない

まとめ

  • 競売・調停・関係者間取引・隣地買い増しなどを集計から除いている
  • 安く歪めるものも高く歪めるものも、両方外している
  • 件数の少ない地域ほど、除外の有無が中央値に効く
  • ただし事情欄の記載は任意なので、除外は完全ではない

集計手順の全体はデータの出典と作成方法にまとめています。